70点思考 ― 慢性痛と100点信仰の落とし穴

慢性的な痛みを抱えていると、
「完全に治さなければ意味がない」
「100点の状態に戻らないと前に進めない」
そんな考えにとらわれてしまうことがあります。

このような考え方を、ここでは**「100点信仰」**と呼びます。

一見、前向きで真面目な考え方に思えますが、慢性痛においては、この100点信仰がかえって回復を遠ざけてしまうことが少なくありません。


なぜ100点を目指すと苦しくなるのか

慢性痛の特徴は、
・良い日と悪い日を繰り返す
・体調や気分によって痛みが変わる
・完全にゼロになるまで時間がかかる

という点にあります。

その中で「痛みがゼロでなければダメ」と考えてしまうと、
少し調子が落ちただけで
「やっぱり治っていない」
「また振り出しに戻った」
と、強い落胆や不安につながりやすくなります。

この心理的な緊張や不安は、体をこわばらせ、結果的に痛みを長引かせる要因にもなります。


70点思考という考え方

そこで大切になるのが70点思考です。

70点思考とは、
「完璧を目指さない」
「今より少し楽になっていれば十分」
という現実的な視点を持つ考え方です。

たとえば
・痛みはあるけれど、以前より動けている
・不安が少ない日が増えてきた
・生活の中でできることが増えてきた

これらはすべて、体が前に進んでいるサインです。

100点ではなく、70点でも「良い状態」と捉えることで、心と体の緊張が和らぎ、回復しやすい状態を保ちやすくなります。


70点で止めることは、あきらめではない

「70点でいい」と聞くと、
「妥協しているのでは?」
「治すことをあきらめるのでは?」
と感じる方もいるかもしれません。

しかし、70点思考はあきらめではありません。

無理に100点を追いかけず、
今の体と上手につき合いながら、
少しずつ積み重ねていくための考え方です。

結果として、その方が体も心も安定し、長い目で見て良い変化につながることが多いのです。


最後に

慢性痛と向き合う上で大切なのは、
「完璧に治すこと」ではなく、
「今より少し楽に生活できること」です。

70点で十分です。
その積み重ねが、体と向き合う力を育てていきます。